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【7つの分類】フルーティってどんな香り?【モダンローズ】

fruity
Ikki

バラの香りと聞いて、どのようなイメージを持つでしょうか。多くの人が「甘い」「華やか」といった印象を思い浮かべるかもしれません。実際、香水や化粧品、ボディミスト、シャンプー、ハンドクリームなど、私たちの日常には「バラの香り」として販売されている製品が数多く存在します。

しかし、生花のバラの香りは品種によって実に多彩で、一概に「バラの香り」と言っても、その特徴は千差万別です。甘く芳醇な香りのものから、爽やかで軽やかな香りのものまで、バラの香りには奥深い世界が広がっています。

今回は、モダンローズの香りを大きく7つに分類した中でも果物様の甘やかな香りを持つ「フルーティ」について、魅力や特徴を詳しくご紹介します。

モダンローズ7つの分類とは

バラの香りの第一人者、パフューマリー・ケミストの蓬田勝之(よもぎだかつゆき)氏が、バラの香りを科学的に分析し、10のノート(香りのニュアンスや香調)に分類。その結果をもとに、現代バラ(モダンローズ)の香りを7つのタイプに体系化したもの。

現在では品種改良・交配の深化により香りが多様化し、従来の7つの枠を超えた香りも見られますが、この「モダンローズ7つの分類」は今なおバラの香りを分析する上での重要な基盤となっています。

成分ごとのバラの香り分析|10のノート(香調)とは

香りの特徴

爽やかで甘い、果実の印象

「フルーティ」は、その名の通り、ピーチ、アプリコット、アップルなどの新鮮な果実を連想させる香りが特徴です。ダマスク系の甘さとティー系の上品さが混ざり合い、そこに揮発性の高いエステル類などが加わることで、独特のみずみずしさが生まれます。

「もぎたてのフルーツのような香り」「甘酸っぱく若々しい香り」などと表現され、親しみやすく、多くの人に好まれる香りです。

主な成分とパルファム図

主な成分

・シトロネロール(柑橘の甘い香り)
・フェニルエチルアルコール(甘く華やかな香り)
・シトロネリルアセテイト(フローラルでフルーティな香り)
・ゲラニルアセテイト(フローラルでフルーティな香り)
・リナロール(爽やか+華やか)
・シトラール(レモンやレモングラスのような香り)
など

パルファム図とは

【モダンローズ7つの香り】それぞれに含まれるバラの香気成分の傾向を円グラフにまとめたもの。【10のノート(まとまった香りのニュアンス、香調)】がどのような構成で含まれているかがひと目で分かるようになっている。

【フルーティ】パルファム図

F
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参考 香りの分類:蓬田バラの香り研究所

ダマスクスイート(フェニルエチルアルコール)

いわゆる「バラらしい」香りを構成する成分のひとつ。
甘やかなフローラル&フルーティノート。

フルーティ・フローラル

果実及び各種花の香りを想起させる成分。

ロージーワックス

油脂、ワックス様のにおいがあるものの、成分自体に特徴ある香り印象を持たない。
バラの香りの柔らかさや保留性に影響している。

ティーフェノリック

やや湿った薬品的な香りでティーローズ特有の成分。
程度の差はあるが、モダンローズのほとんどに含まれている。
含有成分のジメトキシメチルベンゼンは、リラックス効果、記憶力向上など、さまざまな良い効果がある。

ウッディハニー

木材質、および粉っぽい蜜様の香り

「フルーティ」を感じられる品種

「フルーティ」の香りを感じる事ができるバラを紹介します。華やかさと爽やかさを兼ね備えた人気品種が多く存在します。

ダブル・デライト

クリーム色の花弁の縁が赤く染まる、非常に有名なバラです。「二重の喜び(Double Delight)」という名の通り、美しい花と強い香りの両方を楽しめます。 濃厚なフルーティの香りがあり、甘さと柑橘系の爽やかさが見事に調和しています。殿堂入りのバラとしても知られています。

ドゥフトボルケ(フラグラント・クラウド)

ドイツ語で「香りの雲」という意味を持つバラです。その名の通り、あたり一面に漂うほどの強い香りを放ちます。 珊瑚色がかった鮮やかなオレンジ色の花からは、完熟したフルーツのような濃厚な甘い香りがします。フルーティ香の代表格とも言える品種です。

ホワイト・クリスマス

白バラの代名詞とも言える不朽の名花です。 アイボリーがかった巨大輪の花は、半剣弁高芯咲きの整った美しい形をしており、満開時には雪が降り積もったようなボリューム感があります。 非常に香りが強い(強香)ことでも知られ、ダマスク系にフルーツやティーが混ざったような甘く上品な芳香が楽しめます。 名前から冬を連想させますが、四季咲き性のため、春から秋にかけて繰り返し花を咲かせます。

気持ちがパッと明るくなるような、元気が出る香りです。

さいごに

いかがでしたでしょうか。「フルーティ」の香りは、バラの優雅さと果実のフレッシュさを併せ持つ、明るく元気な印象の香りです。

香りを嗅ぐだけでリフレッシュできたり、前向きな気持ちになれたりする効果も期待できます。バラ園でこの香りのバラを見つけたら、ぜひ目を閉じて、そのジューシーな香りを深く吸い込んでみてください。

多様化するバラの香りの世界

現在も世界中の育種家たちによって、毎年素晴らしい新しいバラが生み出されています。このように品種改良や交配が進む中で、バラの香りも多様化し、より複雑になってきています。そのため、従来の「モダンローズ7つの分類」に収まりきらない香りが増えているのも事実です。
しかし、バラの香りを表現する際には、「ダマスク・モダンを基調とした香り」や「ティーとフルーツがバランスよく香る」といった表現が、現在でも香りの方向性を共有するための重要な指針となっています。また、多くのバラ園では殿堂入りの品種など、比較的わかりやすい香りのバラが植えられているため、初めての方でも楽しみやすいでしょう。
ぜひ、お近くのバラ園を訪れ、「モダンローズ7つの分類」の香りを実際に感じてみてください。

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