- 違いを感じながらバラの香りを楽しみたい人
- いまいちバラの香りの分類がよくわからない人
- バラの香りがひとつではないことに気づいてワクワクしてしまった人
バラにとって欠かせない要素である「香り」ですが、
一口に「バラの香り」と言ってもその種類は様々です。
せっかく嗅ぐのであれば「いい香り」の感想だけで終わらせず、
具体的にその違いを感じてみたくはないですか?
ここでは、香りの表現方法、バラの香りの分類について説明します。
この記事では
- 香りの表現方法【官能評価】と【化学分析】について
- バラ香り分類、10つのノート
を説明します。
この記事を読むと
- バラの香りの分類を理解できる
- 香水選びが楽しくなる
- バラ園を回るのが楽しくなる
前提:香りの表現方法【官能評価】と【科学分析】について
香りの評価方法には、「官能評価」と「科学分析」があります。
ここではその違いと、それぞれのメリット、デメリットを説明します。
官能評価
官能評価とは、製品やサービスの品質や効果を評価するために、人の五感(味覚,嗅覚,視覚,聴覚,触覚)を用いて評価する方法です。
メリット
- 人の感覚を用いて評価するため、消費者の実際の体験に近い結果を得ることができる
- 化学分析では解析できない要素も感じ取ることができる
デメリット
- あくまでも個人の感覚に基づいて行われるため、評価者の主観が結果に影響を与えてしまう
- 各評価者の感覚の違いや、体調等の影響により、結果に一貫性がないことがある
科学分析
科学分析は、香り成分を科学的に分析し、量や組成などを数値化し、分析する手法です。ガスクロマトグラフィーや質量分析などの技術を使用して香り成分を識別し、その量を測定します。
メリット
- 科学的に分析し、数値化するため、主観的要素が少なく、結果の再現性が高い
- 複数の香りの組み合わせを分析できるため、複雑な構造を解析するのに適している
- 高度な技術を用いるため、高い精度と正確性で分析することができる
デメリット
- 香りの成分は非常に多様であるため、すべてを分析することは難しい
- 特殊な装置と専門知識が必要
それぞれいいところがあって、どちらかの方法が優れているというわけではないんだね
科学分析から生まれた「10のノート(香調)」
バラの香り分析のエキスパート、パフューマリー・ケミストの蓬田勝之氏は、
科学分析したバラの香りをよりわかりやすくするため、
香りの重要成分から10分類の「ノート(香調)」で表現するという考え方を打ち出しました。
バラの香りは官能評価と合わせ、これらのノートを組み合わせて表現されることが多いです。
10のノート
1:ダマスク・スイート
いわゆるバラの甘い香り。
一番想像しやすい「バラの香り」と言ってもいいかもしれません。
2:フルーティ・フローラル
フルーティーな花に特徴的な香りで、その名の通りフルーツや各種花を想起させる香り。
3:スパイシー
クローブ(丁子)やカーネーションに多く含まれる特徴的なスパイシー様の香り。
「歯医者さんの香り」に感じる人も。
4:ハーバル・グリーン
やや薬効感のあるグリーンな香り。針葉樹の葉などに特徴的。
5:ウッディ・ハニー
木香様の香りとパウダリーなハチミツ様の香りを合わせた香り。
6:ティー・バイオレット
紅茶やスミレの香りに特徴的な香り。
「紅茶の缶を開けたような香り」と評されることも。
7:フレッシュ・グリーン
新鮮な青葉を手で摘んだ時の香り。
刈ったばかりの芝生のような香り
8:ティー・フェノリック
やや湿ったフェノリック(薬品的)でスパイシーさを持ったティーローズ特有の香り。
水をまいた花屋の前を通った時のような香り。
9:ミルラ
ハーブのアニス(ウイキョウ)に似た苦味のある甘さに青臭さを伴った香り。
10:ロージー・ワックス
比較的揮発しやすい花ロウ由来の成分。
油脂、ワックス様のにおいがあるものの、成分自体に特徴ある香り印象を持たない。
バラの香りの柔らかさや保留性に影響している。
以上が、バラの香り10のノートです。
実際にバラの香りを嗅ぐときに、どんな香りが含まれているか、探してみてくださいね。
また、前述の通り、この10の分類は「科学分析」に基づくものです。
自身の五感で受け取る感覚、経験からくる印象などと併せて楽しんで、
自由に表現してみてください。